佐川急便の運賃値上げで考える「送料無料」のこれから。再配達を減らすために私たちができること
ネット通販で当たり前になった「送料無料」。
欲しい商品を注文すれば、自宅まで届けてくれる。早ければ翌日には届き、送料もかからない。
そんな便利なサービスを、私たちは日常的に利用しています。
しかし今、その「当たり前」を維持することが、少しずつ難しくなっています。
2026年10月、佐川急便は2027年1月からの宅配便運賃の値上げを発表しました。
これは配送会社やネットショップだけの問題ではありません。
これからも安心してネット通販を利用できる社会を維持するために、私たち一人ひとりが「荷物の受け取り方」を考える時期に来ているのではないでしょうか。
佐川急便が2027年1月から運賃を値上げ

佐川急便は2026年10月2日、2027年1月1日から宅配便などの運賃・料金を改定すると発表しました。
「飛脚宅配便」「飛脚ラージサイズ宅配便」の届出運賃は、平均約13.8%の引き上げとなります。
例えば、関東から関西へ荷物を送る場合、次のような改定が予定されています。
| 荷物サイズ | 現行運賃 | 改定後 |
|---|---|---|
| 60サイズ | 1,040円 | 1,060円 |
| 100サイズ | 1,630円 | 1,650円 |
| 160サイズ | 2,570円 | 2,960円 |
| 170サイズ | 3,360円 | 4,200円 |
※佐川急便公表の届出運賃例。実際の改定率はサイズ・配送地域によって異なり、法人等の個別契約運賃も契約条件によって異なります。
背景には、ドライバーの人手不足、人件費の上昇、車両や施設の維持費、物流ネットワークへの継続的な投資などがあります。
私たちは、今回の運賃改定を単なる値上げとして捉えるべきではないと考えています。
荷物を安全に、確実に届けるためのコストを、これから誰が、どのように負担していくのか。
今回の発表は、その問題を改めて考えるきっかけになりました。
「送料無料」は、本当に無料なのでしょうか?

ネット通販では「送料無料」が購入の決め手になることも少なくありません。
しかし、当然ながら荷物を運ぶための費用がゼロになるわけではありません。
送料をお客様からいただかない場合でも、配送会社に支払う運賃は発生しています。
その費用は、ネットショップ側が負担するか、商品価格や販売条件の中で回収する必要があります。
私たち宅配ボックス名品館もECサイトを運営する立場として、配送コストが販売価格やサービスに与える影響を日々実感しています。
特に、大きな商品や重量のある商品ほど、物流コストの影響は無視できません。
今後も運賃の上昇が続けば、ネットショップによっては、送料無料の適用条件の変更や、商品価格の見直しを検討せざるを得なくなる可能性があります。
もちろん、企業には配送方法の見直しや梱包の効率化など、コストを抑える努力が求められます。
一方で、これまでと同じ安さ、同じ速さ、同じ利便性を、すべて維持し続けることにも限界があります。
送料無料という便利な仕組みをこれからも維持するためには、配送にかかる無駄を少しでも減らすことが大切ではないでしょうか。
その一つが「再配達の削減」です。
宅配便の約7.6%が再配達。まだ改善の余地がある

国土交通省が2026年7月に発表した調査によると、2026年4月の宅配便の再配達率は約7.6%でした。
2025年10月の約8.3%から改善していますが、それでも決して小さな数字ではありません。
再配達が発生すると、配送ドライバーは同じ届け先をもう一度訪問しなければなりません。
そのために、追加の移動時間や燃料、労力が必要になります。
配送効率が下がれば、ドライバーの負担が増すだけでなく、CO2排出量の増加にもつながります。
再配達の負担を軽減することは、物流業界の人手不足や環境問題への対策としても重要です。
国土交通省は、宅配ボックスや置き配など、多様な受取方法の利用を促進しています。
2026年4月時点で、その利用率は約31.0%。2030年度には50%程度まで高める目標が掲げられています。
つまり、再配達の削減は、国を挙げて取り組む物流課題の一つなのです。
再配達を減らすために、受け取る側にもできることがある

物流の問題は、配送会社やネットショップだけでは解決できません。
荷物を受け取る私たちにも、できることがあります。
例えば、
- 在宅できる日時を指定して受け取る
- 配送予定の通知を確認し、必要に応じて日時を変更する
- コンビニや宅配ロッカーで受け取る
- 自宅に宅配ボックスを設置する
こうした小さな工夫も、再配達の削減につながります。
なかでも宅配ボックスは、自宅で荷物を受け取るための有効な選択肢です。
共働きのご家庭や、一人暮らしの方、日中の外出が多い方でも、対応する荷物であれば不在時に受け取ることができます。
荷物を待つために外出を控えたり、再配達の時間に合わせて帰宅したりする必要も減らせます。
ただし、冷蔵・冷凍品、代金引換、宅配ボックスに収まらない大型荷物など、利用できないケースもあります。
大切なのは、それぞれの生活に合った受取方法を選ぶことです。
宅配ボックスは「受け取る人」だけのための設備ではない

私たち宅配ボックス名品館は、2017年から戸建て住宅向けの後付け宅配ボックスを提案してきました。
その中で大切にしてきた考え方があります。
宅配ボックスは、荷物を受け取る人だけでなく、荷物を届ける人にとっても使いやすくなければならない。
例えば、宅配ボックスが設置されていても、配達員が使い方を理解できなければ、スムーズに荷物を預けることはできません。
鍵の操作が複雑だったり、投函できるかどうか判断しづらかったりすれば、せっかく設置した宅配ボックスが十分に活用されない可能性もあります。
また、一度荷物が届くと次の荷物を受け取れないタイプでは、複数の配送会社から荷物が届くご家庭のニーズに対応しきれない場合があります。
だからこそ、私たちは次のような点が重要だと考えています。
- 十分な収納容量:日常的に届く荷物を無理なく入れられること
- 複数回投函への対応:荷物が重なる日にも対応しやすいこと
- 分かりやすい鍵の操作:届ける人が迷わず扱えること
- 防犯性や耐候性:屋外でも荷物を安心して保管しやすいこと
宅配ボックスの価値は、単に荷物を入れられることだけではありません。
「配達する人が迷わず使え、受け取る人が安心して利用できること」こそが、再配達を減らすために重要だと考えています。
宅配ボックスの普及は、物流の未来を支える一歩

宅配ボックスを設置したからといって、すべての再配達がなくなるわけではありません。
また、再配達が減ったからといって、すぐに運賃が安くなるわけでもありません。
物流コストには、人件費、燃料費、施設の維持費など、さまざまな要因が関わっているからです。
それでも、一度の訪問で荷物を届けられる機会が増えれば、配送業務の効率化に貢献することができます。
その積み重ねが、ドライバーの負担軽減や、安定した宅配サービスの維持につながっていくはずです。
宅配ボックスは、留守中の荷物を受け取る便利な道具として普及してきました。
しかし、これからはそれに加えて、物流を支えるための住宅設備としての役割も、ますます重要になると私たちは考えています。
便利なネット通販を、これからも当たり前にするために

佐川急便の運賃値上げは、私たちが日々利用している宅配サービスのあり方を考える機会になりました。
ネットショップは、無理のない配送サービスと適正な価格を考える。
配送会社は、安全で効率的な物流の仕組みを整える。
そして消費者は、できる範囲で再配達を減らす受取方法を選ぶ。
この三者の取り組みが重なってこそ、便利なネット通販を将来にわたって利用し続けられるのではないでしょうか。
「送料無料」の裏側には、荷物を届けてくれる人たちの仕事があります。
その仕事を当たり前と思わず、持続可能なものにしていくこと。
私たち宅配ボックス名品館は、宅配ボックスの普及を通じて、そんな社会づくりに貢献していきたいと考えています。
自分たちの暮らしを便利にすることが、届けてくれる人の負担を減らすことにもつながる。
そんな宅配ボックスの価値を、これからもお伝えしていきます。
参考資料
- 佐川急便「2027年1月1日(金)適用 宅配便等の届出運賃・料金の改定について」(2026年10月2日)
- 国土交通省「宅配便の多様な受取方法の利用率は約31.0%」(2026年7月10日)
